夫婦の家計について調べると、どこにも同じことが書いてあります。「まずは夫婦で話し合いましょう」「月に一度、家計会議を開きましょう」と。
我が家は、一度もやったことがありません。
家計も投資も私(夫)がひとりで管理していて、妻はほぼノータッチです。それでも揉めたことはなく、金融資産は2,000万円を超えました。
話し合わないかわりに何をしているかというと、話し合わなくても回る形を先に作っています。この記事では、その全体像を書きます。
「夫婦でお金の話し合いを」が、我が家で続かない理由
そもそもの前提として、我が家はお金への関心の差が大きいです。
私は仕組みを作るのが好きで、家計簿も投資も苦になりません。妻は感覚派で、正直なところ運用の細かい話に興味がありません。これは優劣ではなく、単に向き不向きの差です。
この状態で「二人で決めましょう」とやると、どうなるか。興味がない側に、判断だけを求めることになります。
妻「聞いても分からないから、大丈夫かどうかだけ教えてほしい」
これが本音だと思います。銘柄を並べて「どれがいい?」と聞かれても、答えようがありません。答えられない質問をされ続けるのは、それ自体がストレスです。
もうひとつ、話し合いは続かないという現実的な問題もあります。月1回の家計会議を設定して、3か月後にも続いている夫婦がどれだけいるでしょうか。子どもが小さければなおさら、二人で落ち着いて話す時間そのものが取れません。
なので我が家は、合意形成をやめました。かわりに、片方が設計して、もう片方は乗るだけで回る形にしています。
話し合わずに回すために、我が家がやっている4つのこと
「話し合わない」は「何もしない」ではありません。話し合わなくて済むように、先に決めてある仕組みが4つあります。
1. お金の流れを1本にまとめる
まず、お金の入口と出口を分散させないことです。
我が家は互いの給与をすべて1つの共通口座に入れて、そこに紐づく家族カードで生活しています。お小遣い制はありません。上限も決めていません。
「それで使いすぎないの?」と思われますが、お小遣い制をやめる前と後で支出はほとんど変わりませんでした。ただしこれは条件が揃っていたからで、外していい家庭とダメな家庭があります。
👉 お小遣い制をやめて共通口座1本にした。やめていい家庭とダメな家庭の条件
2. 積立を先に抜いて、余ったお金の行き先も決めておく
次に、将来のお金を先に確保します。
我が家は目的別に金額を決めて、毎月自動で積立に回しています。老後、大学の学費、中高の学費、というように用途ごとに分けていて、これは自動で引き落とされるので毎月の判断は要りません。
そのうえで、月末に余った現金の行き先も決めてあります。
- 生活防衛資金(我が家は生活費の9か月分)と暴落時の待機資金に届いていなければ、現金のまま置く
- 届いていれば、投資に回す
しかもこれ、毎月はやりません。判断する日を3月・6月・9月・12月の年4回に固定しています。毎月やろうとすると面倒で続かないからです。
ここまで決めておくと、「今月の余りをどうするか」という会話が発生しません。決めごとを増やすのではなく、決める回数を減らすのが目的です。
3. 妻に共有する情報を絞る
3つめが、全部は共有しないということです。
妻に伝えているのは、資産の総額と、大まかな方針と、危ない運用はしていないという事実だけ。具体的な銘柄も、毎月の積立額も、資金をどう分けているかも伝えていません。
隠しているわけではなく、聞かれたら全部答えます。ただこちらから積極的に渡すのは、相手が安心するために必要な情報だけにしています。運用の手続きを伝えても、相手の判断が増えるだけだからです。
👉 妻に共有しているのは「総額」だけ。夫婦の資産をどこまで共有するかの線引き
4. 不安が出たら、話し合いではなく試算で返す
最後が、不安への返し方です。
話し合いをしないと言っても、妻から質問が出ないわけではありません。むしろ定期的に出ます。「このまま専業主婦で大丈夫なのか」「こんなに外食して大丈夫なのか」「老後に家を建て替えたいけど貯まるのか」。
このとき、その場で「大丈夫だよ」と答えないようにしています。感覚で返しても不安は消えないからです。かわりに、実際に計算して、複数のパターンを並べて数字で答えます。
ここが「話し合わない」の意味だと思っています。二人で悩む時間を作るのではなく、片方が調べて答えを持ってくる。議論する相手ではなく、答えを出す担当がいる、という形です。
👉 「このまま専業主婦で大丈夫?」に、話し合いではなく試算で答えた
話し合わない家計が向いている夫婦、向いていない夫婦
正直に書くと、この形はどの家庭にも勧められるものではありません。
我が家で成立しているのは、いくつかの条件が揃っているからです。
向いている場合
- お金への関心や得意・不得意に、はっきり差がある
- 管理していない側が「任せたい」と思っている(我慢しているのではなく)
- 相談したら通る、という実績が積み重なっている
- 管理する側が、聞かれたら隠さず答える
向いていない場合
- 管理していない側が、本当は関わりたいと思っている
- 相談しても却下されることが多い
- 収入が別々で、それぞれの裁量を残したい
- 過去にお金のことで信頼を損ねた出来事がある
とくに1つめが大事です。任せたいのか、諦めているのかは全く違います。諦めさせている状態でこの形にすると、うまくいっているように見えて不満が溜まります。
我が家の場合は、妻から出てくるのが不満ではなく不安でした。「もっと関わらせて」ではなく「これで大丈夫なのか教えて」です。だからこの形が成立しているのだと思っています。
話し合わずに回す設計の、最大の弱点
この形には明確な弱点があります。管理している側にもしものことがあったとき、もう片方が何も再現できないことです。
我が家の場合、妻は資産の総額は知っていますが、どの金融機関のどの口座に何があるかは知りません。積立の設定も、現金の置き場所も把握していない。片方に寄せるというのは、そういうことです。
そこで、万一のときに残す引き継ぎシートを作りました。どの口座に何があるか、どこを見れば全体が分かるかを1枚にまとめたものです。我が家でも、これを使って順に埋めているところです。
同じものを無料で配布しているので、よければ使ってください。「パスワードは書かない」といった注意点もダウンロードページに載せています。
👉 もしもの時の資産引き継ぎシートをダウンロードする(無料)
話し合わない設計を選ぶなら、ここだけは埋めておかないといけないと思っています。
まとめ:夫婦で話し合わなくても家計は回る
- 我が家は夫婦会議をしていない。合意形成をやめて、片方が設計してもう片方は乗るだけの形にしている
- 話し合わずに回すために決めてあるのは4つ。①お金の流れを共通口座1本にまとめる ②積立を先に抜き、余りの行き先も年4回だけ判断する ③共有する情報を「安心に必要なもの」に絞る ④不安には感覚ではなく試算で返す
- ただし万人向けではない。「任せたい」のか「諦めている」のかで結果が変わる
- 弱点は引き継ぎ。片方に寄せる以上、もしもの時に再現できる状態は別途作る必要がある
「夫婦でお金の話し合いをしましょう」がうまくいかないのは、意志が弱いからではなく、話し合いを前提にした設計そのものが合っていないことがあります。我が家はそちら側でした。